2014年09月04日

エボラ退避の流れとその時々の思い考え1(疑い発生〜コトヌー退避)

8月7日(木)首都ポルトノボでエボラ疑い例1件発生。退避を恐れる。

7月25日にナイジェリアでエボラ出血熱による死者が出てから、数日後のこの日、ベナンにもエボラ疑いが出たとの情報がラジオとJICAベナン支所から流れてきた。

ナイジェリアでエボラ患者が出た先月末から悪い予感はしていたが、とうとうベナンにも来たか。この疑い例がエボラであるならば、瞬く間にベナン中に広まっていくだろう。感染が拡大すればコトヌー退避、最悪の場合には国外退避もありえる。それは嫌だ。まだ日本には帰りたくない。3カ月前に活動の方向転換をしてようやく楽しくなりだしたところだった。今帰ったら何もかも中途半端だ。でも、それも時間の問題な気がする。

エボラ出血熱は、発症患者の体液に触れることによって感染する。これまでの西アフリカ西端三国でのエボラ感染拡大は、家族の看病や医療従事者の治療、死体を手で洗う慣習によって広まったと言われている。ベナンの社会において、家族が患者の世話をしないことは考えられないし、病院でも感染を防ぐ防護服が用意されているとも思えない。それに防護服があっても、それをちゃんと使わないだろうな。エボラがベナンに入ったら終わりだ。

もう一つの不安なのは、ガセネタのエボラ予防策が出回っていることだ。ラジオがポルトノボでの疑い例を伝えたこの日、住民がエボラに関してどういう情報を持っているかを聞いて回った。すると、沸かした水に塩と玉ねぎを入れて飲むだとか、それで身体を洗うことでエボラを防ぐことが出来る、と言うようなことをほぼ全ての住民が口にした。昨日までは「エボラって何?食べれるの?」状態だったのに、一日で町中に「情報」が出回っていて、みんなその日の朝に玉ねぎ塩水を飲んだり、それで身体を洗ったりしたようだ。今自分が持っている情報によると、玉ねぎでエボラは防げないはずだから、この「予防策」を本気で信じている人たちの間に広がる危険性はあるなと思う。

いずれにせよ、まだ日本に帰りたくない。サケテに残っていたい。



8月8日(金)ポルトノボの疑い患者が死亡したとの情報。コトヌーに退避するようJICAから命令を受けた。

昼過ぎだったか。携帯の着信を示す画面にJICAの文字を見て、「まさか」と思った。疑い例が出た時点で覚悟はしていたものの、実際に離れなきゃいけなくなると嫌だ嫌だと駄々をこねたくなる気持ちだ。急いでタクシーを手配し、関係の近い人達のほんの一部にコトヌーに行かなくてはいけないこととその理由を伝え、国外退避も考えて日本に持って帰りたいものをすべてバックパックに詰めて、サケテのもう一人の協力隊員とともに借り上げたタクシーに乗り込む。挨拶出来なかった数人に電話でコトヌーに上がること、いつ戻ってこられるかわからないこと、最悪の場合帰国もありえることなどを伝える。

少しずつサケテから離れていくタクシーからの景色を眺めていると、今までのいろんな思い出がフラッシュバックしてきた。サケテの街並みや人々の生活の様子、子どもたちの可愛い笑顔や若者たちとの腹立たしい関わり、どこに行っても「アラデ!」「ショウタ!」と呼んでくれるサケテの人たち。それまで嬉しかったことも嫌だったことも全て愛おしく思えた。離れるときになって気がついた。俺はサケテが好きなんだ。

ポルトノボに近づくにつれ見える景色も変わってくる。穴だらけの舗装道路、やかましく走り回るゼミジャン、それにまたがる大きな女性、排気ガス、車体スレスレの追い越し、床屋に描かれるバランスのおかしい似顔絵、DIEU EST GRAND(神は偉大なり)という名前のカフェやトラックのナンバープレート。コトヌー上京時にはいつも見ている景色なのに、この時はいつもとは少し違って見える。この環境にいられることは幸せなんだな。まだ日本には帰りたくない。早くサケテに帰りたい。

そこでふと気がつく。俺は自分のことしか考えていないのでは…?死の危険の高いエボラがベナンのすぐ近くまで来て、ベナンの人たちの生命も脅かす可能性があるというのに、俺は「日本に帰りたくない」「サケテに残りたい」なんて自分のことばかり考えている。サケテの人たちがエボラ感染してしまわないかの心配より自分のことばっかり考えている。
結局俺は自己中心的なのか。
posted by 木村だっくす at 06:08| Comment(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
木村くん、お久しぶりです。
エボラ、日本からも注意深く動静を見ているけれどもベナンまで拡大した(?)となると、流石に今回の感染拡大が異常に思えてなりません。
最近テロ対策の専門家の方から「テロにはシナリオがあって近年の鳥インフルエンザの感染症もその一例と考えられる」という話を伺いました。今回は、シエラレオネ、リベリアと過去の紛争地帯から発生していることからもその可能性もあるのかなと警戒しております。
しかし、そんな危機的状況でも自分を客観視して反省できる木村君はすごいと思いました。
まずは、ご自身の安全を第一に考えてくれぐれもお気を付けください。
曽根
Posted by sone at 2014年09月06日 02:56
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